≪ネタばればかり≫
≪今日からハンブルクですし、マリインスキーは新たな白鳥姫と王子が誕生してるのに空気読まず今さらのワガノワ≫
wowowのノンフィクション・ドキュメンタリー『ワガノワ名門バレエ学校の秘密~くるみ割り人形への110日』の、再々放送を見ました。
ここの掲示板で評判をお聞きしたのと、これを見た友人も
「すごく厳しい世界ねーー」
と言っており、興味津々でwowow契約。
(その友人曰く、
「校長先生の翻訳がオカマちゃん風になっていて、芸が細かい」
とのこと・笑)
本ドキュメンタリーでは、二人の対照的なワガノワ少女による、『くるみ割り人形』を巡るそれぞれの闘いが描かれます。
これは虚構の物語ではなく、実際の現場に取材カメラが入ったノンフィクション。
物語であれば、予定調和的にストーリーは進行するところですが、
(努力と友情そして勝利、的な)
現実の世界においては、物事は予想通りに進まないもの。
ワガノワの現場でも事態は思いもよらぬ方向に展開し、想定外の結末を迎えることになります。
リアルな現実の中に、物語を越えるドラマがありました……人生って、過酷ですね……
今回の主人公はヴェーラ・セーゴワ(18歳)。
https://www.instagram.com/veraballet/
2011年、13歳で小さいマーシャを踊り、最終学年となった今年、夢に見たプリンセス・マーシャの主役を射止める。それは、夢への第一歩。
しかし、公演は5回、5人の少女が交替で主役を踊る。
ヴェーラの他、選ばれた5人は以下の通り。
エレオノーラ・セヴェナルド(17歳) https://youtu.be/ZZbVVHz9mlY
アレクサンドラ・コールシュノワ(16歳)
マリア・イリューシキナ(18歳)
アンナ・スミルノーワ(18歳)
「誰かが2回転したら私も2回転しないといけない」(セヴェナルド)
「頑張らないといけません。でもこれからもいつもライバルがいる。それがバレエ人生です」(ヴェーラ)
5人が狙うのは、その年のワガノワの顔、『初日』
初日の栄誉を勝ち取るために、選ばれた少女たちは死力を尽くして稽古に励む。それは美しさを追求する孤独な戦い。
「『初日』は年齢に関係なく、一番いい子にやらせます」(ツィスカリーゼ)
「応援するフリはできます。でも実際に、心の中で純粋に他人を祝福する人は誰もいません」(アリーナ・ソーモワ)
初日のスポットライトを浴びるのは誰になるのか、この『くるみ割り人形』の舞台が、世界への扉を開く。
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2015年9月、ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーの新学期が始まる。生徒312人、
(写ってる男子はオスタペンコ、マリシェフ、ミヘーエフなど、いずれも王子候補のイケメン)
基本は10歳で入学し、18歳で卒業。
およそ7時間の通常授業を終えた夕方、『くるみ割り人形』のリハーサル(デュエット)が始まる。
ここでヴェラの相手役はロマン・マリシェフ。
https://www.instagram.com/maloi97roman/
マリシェフのサポートによる5回転ピルエットが上手くできない。
「ごくろうさま。5回転はやめて4回にしましょう」と、先生はアッサリ。
「変えましょう。5回で出来なければ4回、4回が悪ければ3回」(先生)
「ロシアパレエはテクニックが一番ではない。まず美しく見せるのが重要」(石井久美子)
(そうは言っても、美しくかつ最高のテクニック、がロシアのプライドですよね…)
「ワガノワで大切なのは『腕』の表現。ワガノワではこれを徹底的に教育します」(ガリーナ・エニケーエワ先生)
8年前の入学試験の映像。わずか60人の定員に対し、数千人の希望者が殺到する。
入学審査では、パンツ一丁の上半身裸に剥かれた女児が、身体を表返し裏返し、ためすがめつ徹底的にバレエの資質を審査される。
(この選考の様子は、西側基準だと大問題になりますよね? ワガノワの公式動画でも、つい先日も男児女児のパンツ一丁の半裸姿をYouTubeにアップしてますが、親御さんの了解は得ているのかしら)
合格すれば授業料は無料。才能ある子を国家レベルで教育する。
「バレリーナになりたいです。だってきれいだし」
と、無邪気に夢を語り、屈託なく笑う10歳のヴェーラ。
しかし入学後は厳しい競争が待ち構えている。2011年の進級試験の結果発表、
学校の廊下の一角にゾロゾロと集まる生徒たちに、先生が宣告する。
「マーシャは残念ながらお別れです」
その場でテーブルに伏して泣き崩れる少女。耳まで真っ赤にして号泣する少女の肩を先生がそっと撫でるだけで、他の少女たちが声をかけることはない。
過酷な世界。
18歳になったヴェーラ、学校から地下鉄で30分の郊外にある自宅アパートに取材陣が訪問する。
ヴェーラと双子のナージャ、その姉の美しき三姉妹、いずれもヴェーラとよく似たストレートの金髪で、はにかみ屋さんでよく笑う。
6畳に足らないくらいの三姉妹が同居する部屋、2段ベッドが二つと勉強机でギュウギュウ。
「ひとり入ればいっぱいなの!」(と、楽しげに笑うヴェーラ)
「(足の)ここが痛い、ここの筋肉が痛いの」と愚痴るヴェーラに、医師を目指す双子のナージャが、勉強机で人体解剖図のような本をめくって、足の筋肉を解説。
机の上にはプリンターや使い込まれた勉強のノート。
殺風景ながらも、仲良し三姉妹が過ごす様子は、まるで花園。
2段ベッドの下段にもぐりこみ、トウシューズの幅を詰める針仕事をしているヴェーラだが、
部屋を見る限り、彼女自身のスペースは、恐らくはこの小さなベッドの上だけ。
トウシューズは1週間でボロボロに。
母と三姉妹の食事風景。父親は大型トラックの運転手。仕事で不在がちだが、娘の晴れ舞台は何としても見たいと言っている。
小さなダイニングキッチンはコンロのすぐ横がテーブルで、椅子を引くにもギリギリの壁。
狭いが清潔によく整えられている。
米を炒めたピラフにパサパサの鳥肉?のようなものが載ったものがメインの夕食。
「(ヴェーラのことを)誇りに思っています。彼女がマーシャを踊ることを、知り合い全員に話しています。でも本人は嫌がるの(笑)」(ヴェーラの母)
母の言葉にテレ隠しで笑うヴェーラ。
食後に同じテーブルで、三姉妹と母がノートパソコンを囲み、ヴェーラが踊った「小さいマーシャ」の動画を見ている。音楽を口ずさみながら、とても楽しそうな光景。
「踊ることほど楽しいことはないし、カーテンコールが大好きなんです。観客の拍手に包まれる瞬間は最高に幸せです」
と語るヴェーラ。大人になった彼女は満身創痍、でも10歳の頃と同様に夢がいっぱいの笑顔。
「そこまで必要ないんじゃないの?何のために?と友達に何度も言われました。怪我をするかもしれないし、精神が傷つくかもしれない。でも才能を与えられたなら、それを咲かせるべき」(母)
授業開始は夜明け前の8時45分。(朝だけど真っ暗)
ヴェーラの同級生は、入学時の60人から19人と、3分の1以下に減ってしまっている。本番まであと2カ月、連日続くリハーサル。
マリシェフとのPDD、1幕のリハーサル、軸がぶれるし、回転で止まる。
「あなたは相手がいないみたいに踊っている」(シトニコワ先生)
「男の子からラブレターをもらったことある?愛してると言われたことは?一度もないの?それでどんな愛が語れるというの?」と、横柄なツェスカリーゼ。
(大きなお世話ですよネー)
「脳にスイッチを入れろ! すごく小さいのは分かっているが、たまには使わないと」
(ツェスカリーゼのインタビュー*マーシャの条件について)
「もちろん外見です。彼女たちはみんな魅力的ですが、華奢でキュートであって欲しいです。それからもちろんテクニックを備えていることですね」
(明日のキャスティングについて)
「わかりません。今日の段階では誰一人として決まっていません。初日は年齢に関係なく、一番いい子にやらせます」
ワガノワで『くるみ割り人形』に主演し、マリインスキー入団後すぐにプリンシパルになったアリーナ・ソーモワ
「応援するフリはできます。でも実際に、心の中で純粋に他人を祝福する人は誰もいません。選ばれなかった人たちの気持ちは、落ち込むだろうし、意地悪な気持ちにもなるでしょう。なぜ私ではなくて、あの人が?と思うでしょうね。ライバルを応援する気持など存在しません」(アリーナ・ソーモワ)
ソロを踊るヴェーラ。
本番まで一カ月を切った12月、『くるみ割り人形』の日程とキャストがついに発表される。廊下に張り出されたキャスト表に群がる生徒たち。
ヴェーラは初日には選ばれず、4日目の公演となった。4番目というのは、学年トップだったヴェーラには厳しい結果。
初日の大役を勝ち取ったのは、一学年下のライバル、エレオノーラ・セヴェナルド。
「初日を踊ることになったのでとても嬉しいです。「初日」は私たちの『くるみ割り人形』の幕開けだから責任が大きいです」と、輝く美貌のエレオノーラ。
完璧な少女。
王子とキャバリエ?役が揃う教室、グラン・パ・ド・ドゥのリハーサルが始まる。
「あなたはトウシューズでウォーミングアップして」(先生)
「もうしました」(エレオノーラ)
「もう? えらい」」(先生)
オスタペンコ王子とリハーサルするエレオノーラ。
リハーサルながら、素晴らしい完成度。清楚にして可憐。
本番一週間前の日曜日の昼下がり、取材班がエレオノーラの自宅を訪問する。映像を見る限り、ビルの立ち並ぶペテルブルクの新市街。
暖炉のある広いリビング。焼き上がったケーキを手に、取材陣を笑顔で迎えるエレオノーラ。
(めっちゃ素敵なお嬢さま)
父親は建設会社の社長。
(日曜の午後だが、父親は不在)
重厚な飾り食器棚を背に、先ほどのケーキを切り分けてのティータイム。
テーブルにはクッキーや、菖蒲の生花が生けられており、(真冬のペテルブルクでアヤメ?)
マダム然とした真珠の装飾もエレガントな母親、エレオノーラと同様にワガノワに通う妹と、一番下の可愛い弟。
弟はブレイクダンス好きと、一家のダンス好きが強調されるが、本ドキュメンタリーでは本筋には関係ないため触れられないが、セヴェナルド家はバレエにおいては特殊な家系。
(セヴェナルド家については、また日を改めて)
「みんな甘いものが大好きだと思うけど、私は体型維持のために制限してます(ニッコリ)」
大きな窓から明るい日差しの差し込むエレオノーラの自室。白い二重のレースのカーテン、白で統一された調度、白いシャンデリア、白にピンクの装飾を施された壁、天井の高さは三メートル半以上。
そして奥の壁には特注サイズの大きな鏡に、十分な長さのレッスン用のバー。
「単なるカーテンレールの棒なんです」とエレオノーラは笑うが、常にバレエを練習していたい娘のために、母親が用意したもの。
この広さの壁面を鏡とバーで潰してなお余裕のある部屋、しかも子供三人いてそれぞれ自室という、セヴェナルド家。大富豪というわけではなさそうだけど、十分な余裕とゆとりが感じられる。
沢山のぬいぐるみやバレリーナの装飾で飾られた部屋は、まさに絵に描いたような少女の部屋。
「この公演に今後の全てがかかっています。これまで覚えてきたことを全て出せば、きっと上手くいきます」
と、笑顔のエレオノーラ。
生徒たちがバスでマリインスキー劇場に移動し、いよいよ本番のリハーサルが始まる。
学校のレッスン室で、ヴェーラのリハーサル。相手役はマリシェフからパヴェル・オスタペンコに代わっている。
https://youtu.be/dSTNG9ZGxFw
映像の印象として、エレオノーラより雑で固く、足の疲労のためその場でマッサージを受けている。悲壮な表情。
初日の2日前となったランチタイム、学校の食堂でヴェーラは動揺している。涙目になってクダを巻く。
同じテーブルに、ダンチェンコに入団したエフゲニー・クズネツォフ。
「もうほっといてよ」(ヴェーラ)
「これが世界の終わりってわけじゃない」(クズネツォフ)
「他人事だから言えるのよ!」(と、ベソをかくヴェーラ)
前夜のガラコンサートで、ヴェーラは『くるみ割り人形』のグラン・パ・ド・ドゥを踊ったが、思うように踊ることが出来なかった。
該当のコンサートは↓
http://vaganovaacademy.ru/index.php?id=47&page=2
問題のヴェーラの動画は↓
https://youtu.be/u7Mp3jGnqeE
(……まあ、微妙ではありますね……美しい長所もあるけど)
(クズネツォフは、活躍する卒業生として、このガラ公演に出演。動画は↓
https://youtu.be/x34HURIEPmM)
クズネツォフってば、久々にワガノワに来てみたら、この位置でヴェーラちゃん達とランチ食ってるのね……
昼食のあと、教室での最後の通し稽古。
「君たちの愚かさ加減にはもう飽き飽きだ! 何回も同じことを言ってるのに!」
セヴェナルドたちを怒鳴りつけるツェスカリーゼ。
そして、不機嫌なツェスカリーゼが他の教師たちと何やら揉めている。
その後、ヴェーラの担任のシトニコワ先生がやってきて、出番を待つ彼女に伝える。
「あなたはもうマーシャを踊りません」
椅子に座って前を向いたまま、身じろぎひとつしないヴェーラ。
瞬きすら出来ない彼女の目から、やがて涙が零れ落ちる。教室の中央では 「アラビア」のリハーサルが行われていて、ピアノ伴奏の低音が響く。
ヴェーラは無言のまま何かを必死で呟き、手にしていたボロボロのトウシューズを少し触って、
再び唇を結んで前をじっと見つめる。
リハーサルがグラン・パ・ド・ドゥまで進行して、ようやくトウシューズのリボンを解くヴェーラ。
チャイコフスキーのセンチメンタルなピアノの旋律と、突然失われてしまった、夢見る少女の時間。少女マーシャを踊り、プリンセス・マーシャも踊るという夢は潰えてしまった。
これ以上、いくら待っていても彼女の出番はこない。心配そうに話しかける同級生も、その本心はわからない。
(言いたかないけど、この子は日本ツアーでお味噌汁をヴぇーってやってた子やね……インスタだけど)
「とてもくやしいです。そんなに簡単にいかないことは誰でも分かっていることだけど、
この先も練習を続けてねどうなるか分かりませんが、全て積み重ねです。無駄にはなりませんが、ただ悔しいです」
失敗すれば、その次は無い。それがバレエの世界。失敗したのは、他でもない自分。
涙を拭うヴェーラ。
そしてヴェーラの脱落により、初日に加えて穴埋めの機会を得たエレオノーラ。
表情は全く変わらない。淡々と、自分に与えられた役割を果たすのみ。
ところが本番前日のレッスン室で、エレオノーラは突然泣き出してしまう。
「何が起きたの? 校長にたくさん注意された? 何か言われたの?」と、心配する先生。
(やっぱりツェスカリーゼ校長って、他の教師が心配するほど口が悪いのね……)
「大丈夫よ、心配しないで。あなたはもう全部できてるでしょ」と、静かにウダレンコワ先生が諭す。
リハーサルが終わり、ようやく落ち着いて取材のカメラに応えるエレオノーラ。ほんのりと照れたようで、目が潤んで赤い。
「今はもちろん疲れているので、だから…、気持ちが弱っているというか、なぜだかこういう状態なんです。自分でもわかりません。本番がもうすぐと感じているからかもしれません」
初めての大役に重圧を感じているエレオノーラ。本番は明日。
レッスン終了後、「(今夜は)やすみなさいね。早く寝るのよ」と声をかける先生。
どんなときも、やること為すこと全て、あらゆる仕草が品良く美しいエレオノーラ。
恐らくは、本番前夜もあの部屋の大きな鏡で、彼女は自分自身と向き合っているはず。
いよいよ本番の当日を迎える。
エレオノーラたちの直前リハーサルを、壁際で見ているヴェーラ。
初日の幕が上がり、プリンセス・マーシャの出番を示すベルが鳴る。舞台衣装で駆けだすエレオノーラ。
そして、ブラボーと歓声が上がる。鳴りやまぬ拍手。
初日の舞台を見事に踊り切り、自信に満ちた笑顔で観客に応えるエレオノーラ。
「全てはこの日のためにありました。この瞬間を心待ちにしていました。今日がスタートだと思います」
トッププリマへの輝かしい最初の一歩を踏み出したエレオノーラ。その行く先には大きな可能性が広がっている。
スポットライトを浴びるエレオノーラと、そんな彼女を舞台の袖から見ているヴェーラ。
ひっそりと、自分だけのマーシャを踊っている。
夢は実現せず、父親に晴れ姿を見せることも叶わなかった。しかし、彼女のバレリーナとしての人生もまだ始まったばかり。
「マーシャをとても踊りたかったです。これよりつらいことはもうないから、この先は大変じゃないと思います。踊り続ける以上、これからも味わうと思います。
これが私のバレエ人生です」
もう、以前のような夢を語る少女の無邪気さは無い。それでも、踊り続ける意志は変わらない。挫折を噛みしめるような、大人の表情。
“もっと美しく、もっと強く。18歳、覚悟の再出発です” (終了)
WOWOWでは3月26日にも再放送があります。
かなり書き写しましたが、私の主観と混在してますし、ヴェーラやエレオノーラの表情など、一見にしかず。
ぜひぜひ、興味のある方はご覧になってみてください。
バレエに青春を賭ける17、8歳の少女たちの、ここで将来が決まるという最大のヤマ場を迎えてのそれぞれの闘争が、ストレートに映し出されています。
映像の力って、凄いです。
個人のプライベート情報がてんこ盛りの自宅および自室とか、よくここまで撮影させたと驚きますし、
教室でのリハーサルや控室など、この局面で?という重要な場面にも取材カメラが入っています。
彼女たちにとってもギリギリいっぱいの状況の中、カメラの前に取り繕う余裕などなく、
ヴェーラにとってこれまでの人生で間違いなく最低最悪の瞬間、先生からマーシャ落選を宣告されるその瞬間も、
ヴェーラの絶望を、取材カメラは克明に捉え、ありのままの姿を写し出しています。
特にヴェーラとエレオノーラとの対比の鮮やかさは、私の稚拙な文章では伝えきれるものではなく、ぜひ映像で感じていただきたいと思います。
双方の家庭については、実際の映像を見ると、
元から決められたレールの上で選択の余地を感じないセヴェナルド家に対し、
(ここの姉妹って、どんな感じなのかしら……?妹がかなりクールに見えたけど)
ヴェーラの家庭は両親の深い愛に包まれ、子供たちはのびのびと自由に進路を選び、支えられているように見えます。
慎ましく、かつ温かい。
(家庭訪問の際、ヴェーラはまず家族の紹介から入るが、エレオノーラがケーキ持って出迎える場面では、妹は奥でオープンの始末をしている)
その一方で、映像というのは冷酷でもあり、
ヴェーラがこの先、それこそ血の滲む努力を重ねたとしても、
エレオノーラにはおそらく敵わないのだろうな、と思わせるものがあるのです……
あらゆる仕草、挙措が端正で品良く美しく、ヒロイン体質のエレオノーラ。
手入れの行き届いた、ツルツルでピカピカの滑らかな肌。白い歯。持って生まれた資質と育った環境からくるエレガンスは、一朝一夕でできるものではなく、
テレビの大画面に映し出されるヴェーラの荒れた肌とは、彼女たちの立ち位置の違い、進んでいく方向の違いを象徴的に感じさせます。
切ないですね……でも、これも現実ですね……
しかし、今回は負け組として描かれたヴェーラですが、そう悲観したものではなく、
ヴェーラは依然として今年の卒業生ではトップランクですし、東京で踊った「雪の精」は圧倒的に光ってました。
まあ、その年に5人も選ばれる主役から落ちたことは事実として残るわけですが、
今回のドキュメンタリー制作では、セヴェナルドに対峙するにはヴェーラくらいのパワーが必要だったと思うのです。
他の3人は可愛いけど、お顔が覚えられないのです。ヴェーラの存在感はやはり魅力で、彼女だからこそ、このドラマが生れたのだと思います。
頑張れヴェーラ。負けるなヴェーラ。
そして、ツィスカリーゼですが、ドキュメンタリーとしては面白くなりましたが、教育的配慮という面では、どうなの?と思ってしまいます。
それにー、非モテの全否定も(笑) まだ17,8歳の少女ですから、異性への愛に疎く、恋に恋してたっていいじゃない。
「あなたは愛のない会話をしてるだけ。王子とイルクーツクで3LDKを買おうか、親と小さなアパートに同居しようか」
……知らんがな。
ただし、主役やその他のキャスティングについては、基準が明確で選考もクリアで、大変良いことだと思います。