この夏は『バレエ・ストリーム』にも『こどもバレエ』にも行けないというのに、なぜか二期会のオペラ『ばらの騎士』に行ってきました。
女性歌二人が主役らしい、くらいは知ってましたが、冒頭からいきなり美麗な女性同士の愛の世界!
それかもう、メロメロの愛の世界なのですよ。子供と一緒だったら、ちょっと緊張するくらいの。
これ、男装の麗人なのか、女性が男性役を演じてるだけなのか、どっち?? どっちなの??Σ(゚□゚(゚□゚*)
宝塚の男役さんなら高度に訓練された様式美の世界なので、迷う余地もないのですが、
女性歌手はあくまで女性歌手なので、もう「えーっと、えーっと」と混乱しっぱなしの一幕でした(笑)
ストーリーは、美貌の元帥夫人と、若き伯爵オクタヴィアンの物語。
(ですから、男装の麗人ではなく、美青年ですね)
これがめっぽう面白くて、男女の心の機敏というのは今も昔も変わらないのねーーとつくづく思った次第です。
≪時間しか感じなくなる。あなたはいつか私を捨て、あなたにふさわしい人を選ぶ。もっと若く、美しい人を≫
≪そんなことはない。あなただけを愛してる≫
≪私が言ってるのは真実よ。もう、今日は帰って≫
元帥夫人は若く美しい愛人にちょっと甘えてるだけなので、ここでギュっ(>_<)ってしてあげれば全て解決なのですが、伯爵は
≪それでは、貴女のおっしゃるとおりに帰ります≫
と、さっさと帰ってしまいます。本当に帰られて「しまった!どうしうよう?!」と後悔のソプラノ独唱、
この心境は、年増の女性ならきっと誰しもが思う、こっちからは言えないんだから、そっちから言ってよ、
忖度してよ、私の不安をわかって、私の望むように、
という切なる要求願望と、
そんなの言ってくれないとわからないよ!
という男性側との、永遠のすれ違いですね。今も昔も、洋の東西も問わず。
そして第二幕、伯爵は運命の少女と出会います。
意に添わぬ結婚をさせられそうな大金持ちの一人娘、ちょっぴりお転婆な美少女17歳!!
伯爵はあっさりと17歳美少女と恋に落ちるのですが、まあ、そうですよね。普通はそうなりますよね。
そうならないところって、マクロン大統領のとことムンタギロフのとこくらいよね??(←下世話)
そしてラスト、若い恋人たちから元帥夫人はそっと身を引きます。美しい引き際です。
これがもし伯爵が元帥夫人を選ぶ結末だったら、物語としては美しいかもしれませんが、ラストは映画『卒業』みたいに、
この先の困難を示唆するものでなければ嘘っぽくなりますよね? 舞台見てる奥様方も「これはアカンわ、この先難しいよ」って思いますよね。
だって元帥夫人の従兄弟が下品な落ちぶれ貴族なところをみると、夫人の実家も太くなさそうだし、夫人がこのまま生き残っていくには、とか色々思っちゃうのが、世間にスレた年増というもの。
そんなこんなで、滅法楽しいオペラ体験でした。
『ばらの騎士』、オペラ初心者に超オススメです~~
しかし今さっきネットで確認したら、元帥夫人は32歳で、オクタヴィアン伯爵はなんと17才!!だそうで。
現代だったら、お縄案件待ったなしって感じ……?(笑)